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火星探査機「キュリオシティ」、無事に火星着陸 [宇宙のロマン]

NSA(米航空宇宙局)は8月6日に火星探査機「キュリオシティ」が火星の地表に無事着陸し、映像の送信を始めたことを発表しました。

火星表面で調査活動をするキュリオシティの想像図(Credit: NASA)

 120109-mars-science-laboratory-curiosity-rover.jpg

 「キュリオシティ」の着陸地点は過去に水の痕跡が発見された赤道付近の「ゲール・クレーター」。搭載された10種類のハイテク機器を駆使し、2年間にわたって、火星の土壌や大気を分析して炭素や窒素、酸素などの痕跡を探し、映像やデータを送信します。

「キュリオシティ」は、マーズ・サイエンス・ラボラトリー(Mars Science Laboratory、略称:MSL) と呼ばれる、NASAの火星探査宇宙船で火星に送り込まれた火星地表探査機の愛称です。ちなみに、この「キュリオシティ (Curiosity=好奇心)」という愛称は全米の学生・子どもたちからの愛称応募によって決定したもので、カンサス州の12歳の少女の提案によるものだそうです。

キュリオシティは、2004年に火星に降り立ったマーズ・エクスプロレーション・ローバー (MER)(スピリットとオポチュニティ)の5倍の重量があり、10倍の重量の科学探査機器を搭載しています。キュリオシティは最低でも、1火星年(2.2地球年)は活動する予定で、火星表面の土 と岩石をすくい取り、解析します。これまでのローバー(火星表面自動走行探査機)よりも広い範囲を探索し、過去と現在の火星における、生命を保持できる可能性について調査するのが主な目的です。

 




キュリオシティは長さ3メートル、重量は900キロあり、そのうち80キロが調査実験機器の重量です。前回のマーズ・エクスプロレーション・ローバーの長さが1.5メートル、重量が174キロであり、その調査実験機器の重量がわずか6.8キロであったことから見ると、いかに大型の調査機器を積んでいるかわかろうと言うものです。

1997年に火星を探査したマーズ・パスファインダー
mars-pathfinder.jpg

 

キュリオシティ(好奇心)と言えば、マーズ・パスファインダー計画(1997年7月に火星着陸)では、ブラジルのサンバ歌手ジョルジ・アラゴンが作曲した『Coisinha do Pai(パパの可愛いもの)』という曲がマーズ・パスファインダーを作動される曲として使われました。これは当時、同計画に携わっていたブラジル人科学者、ジャクリーネ・リラ(Jaqueline Lyra)さんのアイデアによるものでした。ちなみに、このマーズ・パスファインダーは重量わずか10Kgというチャチなものでした。技術の進歩に目をみはる思いですね。

 

「マーズ・パスファインダー」が少々大きめのおもちゃみたいなローバーだったのに対して、「キュリオシティ」は高さ75cmまでの障害物を楽々と乗り越えて進むことができる高性能車。走行速度は、自律航法の場合、最大時速90m程度だそうですが、数々の状況(電力レベル、視界、地表の荒さ、スリップなど)を考慮に入れると、平均では時速30m程度と推定され、2年間の活動期間の間に最低でも19kmの距離を移動する予定だそうです。
「キュリオシティ」の電力源は、プルトニウム238原料の原子力電池であり、昼夜に関係なく一定の電力が得られるというメリットがあるほか、余熱はパイプを通じて探査機のシステムの保温に利用できます。「キュリオシティ」が活動する予定の地域の火星の気温は、摂氏30度からマイナス127度の間で変動するところなので機器の正常な作動のためには機器の温度を維持機能が不可欠なのです。

Mars_Science_Laboratory.jpg

 

「キュリオシティ」で特記すべきは、その突入・着陸システムでしょう。
火星は大気が薄いため、火星表面に着陸させる探査機の重量が大きい場合は、パラシュートや空力ブレーキだけでは減速が不十分であり、過去に使用されたエアバッグを使って衝撃を抑える着陸方式も「キュリオシティ」ほどの重量がある場合は使えないのです。このため、マーズ・サイエンス・ラボラトリー(MSL)ではいくつかの減速方式を組み合わせるとともに、新たな着陸方式が採用されました。

パラシュート降下:

まずはじめに「キュリオシティ」はエアロシェルに格納されて火星大気へ突入し、空力ブレーキで減速します。このエアロシェルは直径4.5mという宇宙用としては過去最大であり、調査機本体はPhenolic Impregnated Carbon Ablator (PICA) という耐熱材で高熱から保護されます。これにより、突入時の速度5.3km/秒~6 km/秒をパラシュートが開けるマッハ2の速度にまで減速することができます。


「キュリオシティ」の着陸ステップ図(Credit: NASA)クリックすると拡大して見れます
667454main_MSL EDL rev-1000.jpg

 

この後、バランス調整用のダミーウエイトを投棄し、高度約7kmで超音速パラシュートを開き、耐熱シールドを分離します。パラシュートは直径16メートル、長さ50メートルという巨大なものです(大気が希薄なためこのように大きくなる)。パラシュート降下中には「キュリオシティ」の下部にあるカメラで毎分5枚の写真撮影を行い、どこに着陸したか精密な地点を確認します。

ロケット噴射降下:

高度1800メートル、速度100m/秒に達した時点でパラシュート降下装置を切り離し、推力調節が可能なヒドラジンスラスター8基(推力各3.1 kN)を噴射して減速しはじめます(バイキング着陸機の技術を流用)。


スカイクレーンを使って降下中の「キュリオシティ」
Mars-landing-draws-near-RT203EKQ-x-large.jpg

 


スカイクレーン:

そして最後はスカイクレーンを使って「キュリオシティ」を軟着陸させます。降下装置と「キュリオシティ」との間は懸架ケーブルと電気信号を送るケーブルで繋がれた状態で約7.5メートル吊り下げます。「キュリオシティ」の軟着陸を確認した2秒後にケーブルカッターを作動させてケーブルを切断したあと、降下装置はスラスタをフル噴射し、上昇したあと離れた場所に落下します。このような複雑な降下システムの使用は今回が初めてで、「キュリオシティ」が無事着陸したことで、この複雑なシステムが問題なく作動したことが確認されました。

マーズ・サイエンス・ラボラトリーの動画



 

着陸後の「キュリオシティ」が撮影した火星の表面写真
673559main_msl5_946-710.jpg

 

 今回の「キュリオシティ」の調査結果が発表されるのが待ち遠しいところですが、ウェルズの想像したような高等生命は存在しないにしても、バクテリアなどの微生物が存在する可能性は高そうです。

 

左から、マーズ・エクスプロレーション、マーズ・パスファインダー、マーズ・サイエンス・ラボラトリーの「キュリオシティ」

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kuwachan

こんにちは。
Lobyさん、これは凄いです。
記事にするのに随分時間が掛かったことでしょう。
資料を読んでいると時間がすぐ経ってしまいませんか?
調べれば調べるほど色々出てきてしまって
収拾がつかなくなることがあります^^;
by kuwachan (2012-08-21 12:43) 

Loby-M

>kuwachanさん、こんにちは。
 調べて勉強するのが趣味(?)ですので、時間はあまり気にしません。
それに更新も頻繁ではありませんし^^;
テーマーによっては頭が混乱しそうになるものもありますね><

by Loby-M (2012-08-24 07:05) 

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